イギリスの寝台列車『カレドニアンスリーパー』でフォートウィリアムまで予約・乗車レビュー
鉄道において合理的かつ非日常な旅行が味わえる存在である寝台夜行列車。
現在、日本では ただ1つサンライズエクスプレスという列車が唯一の定期寝台列車として よく知られておりますね。
鉄道発祥の地であるイギリスでも、現在やはり数は少ないものの寝台列車は走っておりまして…
そのうちの一つがイギリスの首都であるイングランドのロンドンから、北部のスコットランド方面へと結ぶ…
その名もカレドニアンスリーパー。
ちなみに「カレドニアン」というのはスコットランドを指すそうですね。

●誇らしげな客車のロゴ●
今回はですね、このカレドニアンスリーパーでロンドンからスコットランドのフォートウィリアムという所まで乗車をしてみましたので ですね…
その乗車レポートをお送りしたいと思います。
ネットで予約をする
日本のサンライズ同様、こちらも大変人気が高い列車なので予約は不可欠だと思います。コチラの公式サイトで予約をしましょう。

●公式サイトの入力欄●
参考までに、僕が実際に予約した日付を入力してみて あるんですが…
入力欄に出発地、到着地、日にち、片道か往復か、人数、バイクとかペットとかが同乗かとかを入れてですね…

●Room Supplement Only.とは?●
ひとつ特筆しておきたいのがココ。
「寝台券だけ欲しい」場合はココをチェックします。
例えばイギリス中の鉄道を乗り放題できる「ブリットレイルパス」を別途 持っている場合とかですね。

●座席タイプの選択●
値段の高い順に、
- ダブルベッドの「Caledonian Double」
- 専用バスルーム付きの「Club」
- スタンダードな「Classic」
- リーズナブルな「Seat」
の4タイプが選べます。
僕は今回一番スタンダードな「Classic」を選びました。
画像の料金は片道で運賃・寝台券込みの値段ですが、僕は上述のブリットレイルパスを持っていたので寝台券だけを購入。
さっきの「Room Supplement Only.」の項目の所にチェックを入れると値段が割り引かれて表示されるはずです。
そうすると、僕の時は「Classic」が130ポンドの料金となりました。

●個人情報の入力●
名前とか連絡先とかも入力するんですが、なんと これが携帯電話番号が必須です。
こんなの自宅固定電話でも いいじゃん!と思うところなんですが、本当に携帯電話の番号じゃないと弾かれる可能性大です。
携帯電話を持ってない事を誇る僕の人生において、最大のピンチを迎えてしまいました。
…それで僕、去年 致し方なくコチラの記事にも書いたように格安SIMを契約してWiFiルーターでのみ使うという変な運用を始めたんですよ…
イギリスの こういった予約、携帯電話番号必須の場面が ちょいちょい出てきます。日本の携帯番号なぞ実際に かけたりするわけでも なかろうに…

●Chromeの翻訳機能も駆使●
あとは まぁ、こういったネットで予約することに慣れている方なら そこまで詰まる事も なく買い進めることが できる仕様だと思います。
基本テクニックとして、英語で ちょっと わからない部分が あったらブラウザの翻訳機能で意味を調べてみたりとか しながら ですね…
ちなみに翻訳機能の注意点としては、実際に決定ボタン等を押す際は必ず元の言語に戻す事。翻訳された文字列が送受信されてエラーになることも あるっぽいので…

●繁忙期は売り切れ必至●
なんにせよ、乗ろう!乗りたい!と具体的に決まっているのであれば早めの予約が吉です。
なにしろ、なんと1年前から予約が可能ですのでね…僕も今年の8月に乗るのを去年の12月に予約しました。
その後に様子を見たら、繁忙期だったこともあり数か月前には当然のように全席Sold outでしたので…
また、土曜日だけは運休ですので そこも要注意ですね。
ロンドンから乗車

●ユーストン駅にやってきた●
乗車日当日です。いやぁ~、わくわくしますね…
カレドニアンスリーパーが発車するのは、ロンドンのユーストン駅。
ロンドンには行き先ごとに複数の大きなターミナル駅があります。他にもキングストンとかパディントンとか…
東京でいえば新宿とか池袋とか上野とか、そんな感じでしょうかね。

●目的の列車の情報を確認●
あのデカいパネルに これから発車する列車の情報がズラーッ…と表示されておりまして…
表示されているのは いいんですが、到着番線が決まるのが だいぶ直近らしくて…
番線が わかった途端に利用者の皆さんが一斉に どっとホームに移動するのがイギリス鉄道あるあると いったところでしょうか。

●21時15分のに乗る予定●
きたーーーーー、
僕の乗るカレドニアンスリーパーも表示されました。
特に異常もなくオンタイムのようですね。
ただ、例によって番線が まだ わからんな…

●それっぽいホームを発見●
…と思いきや、プラットホームを見に行ってみたら端っこの1番線にカレドニアンスリーパーっぽい列車の準備が…
寝台列車ともなると出発前準備とか時間が必要だと思いますので、まぁ十中八九コレでしょう。
他の乗客の方々も今か今かと楽しみにホーム前で待機しておりますね…

●牽引の機関車●
程なくして、改札開始しました。
チケットはネットで購入したQRコードが記載されたPDFファイル形式ですが、機械で通すとかではなく人力目視チェックでした。
デジタルを臨機応変にアナログで簡潔にした感じですね…

●食堂車がある●
この客車、2019年に導入されたばかりの新型だそうです。
イギリス鉄道、寝台やる気 満々じゃないすか!
日本のサンライズの車両は現在 登場から20年以上経過、今後どうなるかが不透明だというのに…

●カッチョイイ●
くはぁーーーー…
今からコレに乗れると思うとワクワクが止まらない…
鉄ヲタの悪い癖で、マジマジと編成を見て周る気持ち悪い行動も止まりません。

●鉄ヲタは先頭まで行く●
で その勢いで先頭まで来てみたんですが、編成が長すぎて先頭の機関車の顔を拝むことが できません。
最後の客車番号が「P」!?
全部のアルファベットが あるのかは わかりませんが、あったとしたら…16両編成か…
夏のイギリスは観光の最最最ピークですので、編成もフルパワー全開ってところでしょうね…

●フォートウィリアム行き客車●
16両もある列車ですが、それぞれ行き先によって途中のエディンバラとかで4つとかに分割されるみたいです。
日本のサンライズが岡山駅にて出雲と瀬戸に分かれるみたいな ものですね…
僕が乗るのは目的地であるフォートウィリアム行き車両。
別に頭文字とは無関係ですが、たまたま「F」号車でした。
「Classic」の個室設備

●客車内通路●
と、いうわけで車内へ…
おおぅ…通路 狭いな…仕方ないとは いえ…
人の行き来はお互い、すれ違いより譲り合いです。

●今夜の寝床●
最初、ドアの鍵が かかってるのか?と思いきや ただ単に固いだけで強引に押せば開きます。
ベッドが二段あるので1室 最大二人まで利用できますが、一人で予約すると この1室は占有扱いに なるので全く見ず知らずの方が同室の相方として入ってくることは ありません。
一人利用の場合 上段へアクセスするハシゴは予め外されているので まぁ下段を寝床としてくれ、ということでしょうね。

●枕元ゾーン●
足元にもコンセントが ありましたが、反対側にも照明のスイッチや空調とUSB充電ポートがあります。
あと水のペットボトルがサービスで付いてくるので、最悪 飲み物を何も買い込んで来なくても大丈夫っちゃ大丈夫ですね。

●ちょっとしたアメニティ●
アイマスクと耳栓です。
「Club」以上の上位クラスだと、なんか もっと いいオマケを貰えるらしいんですが…
しかし、単なる安眠グッズとはいえ袋が なかなかカッコイイので記念品的な お土産にも できそうですね。

●コレ実は割と重要●
ホテルで よくある「起こさないでください」的なドアノブメッセージの様相ですが、これは朝食サービスの希望を伝えるためのアイテムらしいです。
希望の食べ物、希望の飲み物、希望の時間にチェックを入れてドアノブにかけておけば次の日の朝、スタッフさんが直接 部屋に朝食を持ってきてくれるという…
さりげなく粋なシステムに なってますね。

●専用の洗面台●
最大の特徴はコレですよね…狭い個室ながらもプライベートな洗面が可能です。タオルも付いてます。
なお、上位クラスの部屋だと さらに専用のトイレ&バスルームが付いているとか…
…ただ、本当の本当に狭いらしいんですけどね…トイレとシャワー、同じ部屋で同時に濡れちゃえぐらいの空間らしいので…
食堂車とか列車内を探索

●鍵をかけて探索開始●
この列車には食堂車が あるということで ですね…そこへ夕食を食べに行こうかと…
個室の鍵はカードロック式。
微妙に難しいタイミングで2回タップすることでロックが かかります。
最初その やり方が わからなかったんですが、英語の説明書を拙い理解力で なんとか読み解きました。

●共用トイレ●
僕の泊まってる「Classic」の個室にはトイレがないので列車内の共用トイレを利用することに なりますが、車両が新しい事もあって結構 綺麗めです。
海外で これだけ綺麗なら万々歳ですよ。むしろデフォルトでウォッシュレットまである日本が異常事態なのです。

●「Seat」のシート●
食堂車に行く途中に垣間見れた「Seat」クラスの座席。
横には なれませんが、結構 足元とかが広々しているみたいですね。
なお、「Seat」クラスだと食堂車で食事する資格が得られないようです…

●食堂車に到着●
いやぁー…
これも鉄道旅情の憧れの一つですねぇ…
僕は食堂車での食事というのは これが初めてなので、なんかドキドキ ワクワクします。

●車窓を眺められる一人席●
なお、食堂車は上位クラスの お客様が優先だそうです。
ですが、

と、ご丁寧に案内してくださいました。
親切です。
ちなみに食堂の営業時間は記載が見当たらなかったので何とも言えませんが…
23時30分頃には撤収作業をしていた感じなので21時15分発でオンタイムであれば、少なくとも22時台には行ったほうが いいんだと思われますね。

●スコットランド料理といえばコレ●
さてメニューですが、やはりスコットランド名物として是非とも食べておきたいのが このハギス「Haggis」という料理でしょうか。
おそらく、一番右の黒いのが それだと思いますが…
なんでも、“羊の内臓を玉ねぎとかと一緒にミンチして茹でたモノ”だそうです。

●ソースをたっぷりつけて…●
正直、見ても聞いても すげえ美味そう!とはお世辞にも言えない感じですが…
…実は割と美味いです、コレ。
かかっているのはウイスキーソースと いうものだそうで、これが また美味いのかも しれません。
人によって好き嫌いが分かれる料理みたいですが、このカレドニアンスリーパーのハギスは事前情報でも結構いけるという噂でしたので…
…美味しくいただきまして、そろそろ就寝します…
車内で目覚めの朝

●おはようございます●
よく寝ました…
ベッドですが、思いのほか狭めです。
平均的昭和男子の僕の体格で狭めに感じるので、英国紳士の方々だと もっと窮屈なんじゃないかなと思いますが…
ただ、布団自体の寝心地は いいと思います。なんでも老舗メーカーのマットレスを使ってるとか…それが効いてるんですかね…

●ブレックファースト●
昨日、ドアノブメッセージで頼んでおいた朝食。
頼んだ時間の通りに持って来てくださいました。
今回 僕が頼んだのはコーヒーとベーコンサンド。
ベーコンサンドがシンプル過ぎるほどにシンプルっすね…
ケチャップ類スティックが何本か付属されているので、これで自分の好みの味に調整してくれと いうのが多分イギリス スタイルなんだと思います。

●本当に挟んであるだけ●
ところで…
僕も後から、なんなら この記事を書く段に なってから気付いたんですが…
この朝食の代金、会計されていないような…
たしか有料だったと思うんだけど…
まぁ…今更しょうがないか…

●謎の空間が…●
もしかしてココ…
本来はテーブルか なんか あったんじゃ…?
ここが無いとすれば室内にはテーブルは ないので、朝食は頑張って こぼさないように食べましょう。

●間もなくフォートウィリアム●
そんなわけで特に遅延もなく、終点であり今回の目的地でもあるフォートウィリアムへ…
長距離便ゆえシカを轢いたとか そういうトラブルも ありがち らしいんですが、オンタイムで よかったです。
気温ですが、8月の夏とはいえ外は15度。さすがスコットランド…
雨も割と降りがちなので、服装は そういう防水防寒のトレッキングウェアとかを用意するのが いいと思いました。
と、いうことで

●フォートウィリアムに到着●
ロンドンからスコットランドへは、それこそエディンバラとかだったら高速列車で4時間30分くらいで着いてしまうそうです。
しかし あえて時間を かけてでも、車内の食堂で ご飯を食べたり布団で就寝したりと…
この移動時間自体が特別な観光体験と いうことで…こういう需要が確実に あると いうこと なんだと思います。
お値段も決して安くは ないんですが、かといって日本のカシオペア紀行みたいなVIPツアー価格という わけでもないので ですね…
イギリス、スコットランドへの旅行を計画する際には、是非とも旅程候補の一つに しては いかがでしょうか!
…と いう感じですね、ハイ。
なお、フォートウィリアム駅のホームには早速 気になる車両が停まっているのが見えますが…
こちらは また別の記事で…
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